僕には、普段から「俺、持ってるわ~」と思うことがちょこちょこ起こる。
運動って大事
そしてこの日も、自分はまるで特別なのではないかと思う出来事が起こった。
これはつい先日の話しである。
僕の住んでいるマンションは最寄り駅のすぐ近くでとても便利な場所である。
そしてその駅のすぐ隣にスーパーマーケットが一件あるのだが、そこにはベーカリーとまではいかないが、パン屋さんが入っている。
そこのパンは全種類1個100円で、値段の割にはとてもおいしいので頻繁に購入させてもらっている。
ちなみに僕のお気に入りのパンランキングはこちら。
No. 1 塩パン
No. 2 クロワッサン
No. 3 カレーパン
その他にも、メロンパンも好きだし、たまには小学校の給食を思い出すような揚げパンを買ったりもする。
この日の前日、僕は動画撮影の為、徹夜で作業を行っていたため、寝たのが朝の6時だった。
この日は土曜日だったので妻と息子はお休み。
僕は彼女たちが起きるのと入れ違いでベッドに入った。
そして寝に入り数時間が立った頃、リビングの方から妻の声が聞こえた。
たろちゃん、今日クロワッサンなくて残念だったね~。
また今度買ってくるからね~。
寝ぼけ眼のまま何気なしにそんな妻の声が僕の耳に入った。
それからまた眠りに入り、お昼少し前に目を覚ました。
時間としては6時間ほど寝たのだが、やはり昼夜逆転では疲れが取れないらしく、まだ眠い。
すると、明らかに体調が優れなそうな僕を見た妻が、「ぼ~っとするなら少し散歩でもしてきたら?マンションの階段上り下りをほんの少しするだけでもだいぶ体が軽くなるよ!」と言ってくれた。
彼女は理学療法士ということもあり、運動の大切さをよく伝えてくれる。
そこで僕も、この頃ジム通いもストップして運動不足なこともあったので、妻の言う通り散歩に行ってこようと思った。
そこで、さっきの妻の話しを思い出した。
クロワッサンだ。
妻が買い物に行ってから数時間経っているので、いまから散歩がてらにスーパーに行けば売っているかもしれない。
そう考えた僕は、財布だけ持って外に出た。
いつもであればエレベーターで下まで降りるが、この日はあえて階段で降りてみようと思った。
そして、数階分ほど足早に降りた頃、信じられないだろうが早速頭が少し軽くなって気持ちが明るくなってきたことに気が付いた。
この日は晴れていて、とてもいい天気だった。
太陽の日差しを浴びながら、軽く体を動かすことがこんなにも気持ちをスッキリさせてくれるとは驚いた。
そして、そのままスーパーに向かった。
引き寄せの法則?
例のパン屋さんはスーパーのメインの入り口から入ってすぐ左側にある。
基本的には一個ずつ自分でトングで取って袋に入れてレジに持っていくシステムだが、中には例外もあり、ミニデニッシュパンやミニクロワッサンといった商品は、10個くらいが一袋にまとまって入っていて数百円といった形で販売されている。
そしてそれらの商品は、単品で販売しているパンの棚とは別の棚に置かれている。
僕が探していたのはそのミニクロワッサンで10個入りのものだった。
そこで僕は、いつもそのクロワッサンが置かれている棚を見たが、やはり見当たらなかった。
やっぱり今日は販売していないのか。
少し残念な気持ちになり、でもせっかくだから何か他のパンでも買って帰ろうと思い吟味していると、一人のおばあさんが僕に声をかけてきた。
おばあさんは僕に何かしらのパンが入った袋を見せながら、
「すいません!ん、あれっ、あなた違うの?」
と言ってきた。
僕は瞬間的に、このおばあさんは僕をスーパーの店員と間違えて何か聞こうと思って声をかけたが、どうやら違うようだ!?とすぐに気が付いて、それ以上何か尋ねるのは止めたのだと思った。
だから僕もなんとなく「あ、違います」と言ってこのやり取りは終わった。
するとそのおばあさんは、持っていたパンの袋を陳列棚の一番下の段に戻して去って行った。
それを何気なしに見届けた僕は、またどのパンを買おうか選ぼうと思った。
しかし、その次の瞬間に僕の頭の中におばあさんが見せてきた袋の中に入っていたパンの映像が映し出された。
あれっ?
もしかして?
そう思って、そのおばあさんが戻したパンの袋が置かれている陳列棚を見た時、衝撃が走った。
なんと、あの10個入りのミニクロワッサンが置かれていたのだ。
そんなばかな。
まるでおばあさんは僕の心を読んだかのように、僕にクロワッサンの位置を教えてくれたではないか。
しかも、自分で買おうとして持っていた袋をその棚に戻して去って行ったのだ。
それは最後の一袋。
もしおばあさんが買っていたら、僕の分はどのみちなかったのだ。
なんとも言えないこの感覚。
僕にはこういうことがたびたび起こるのである。
これを引き寄せの法則とやらと呼ぶのだろうか?
なんだかこういうことがあるととても気分が上がる。
自分が特別な人間かのような錯覚を起こす。
いい気分だ。
こうして、無事そのクロワッサンを購入できた僕は、マンションに帰って階段を足早に上った。
行きの時より心も体も身軽である。
そして部屋に戻るなりこの話を妻にしたことは言うまでもない。
「てか聞いてっ!やばいっやばい!俺やっぱり持ってるわ~!」