前回、大きな期待を寄せた理事長代理との電話もむなしく終わった。
ほんの一瞬だが先に進めたと心の中で思っていたので、なんだか振り出しに戻ったような気分になった。
誘惑に負けるな
まあ実際は、そもそも先に進んだわけではないのだが。
とにかくまた引き続きコンタクトを取り続けるしかない。
興味を持ってくれる園が見つかるまで!
一度や二度上手くいかなかったからと言って挫折している場合じゃない。
そう気合を入れ直して、この日も僕は例のごとくカラオケボックスで電話を始めた。
一件目。
二件目。
ここまではいつも通り。
意外と好印象で話はしてくれるものの、
「うちでは協力出来ないので申し訳ない」
という回答が続いた。
これにも慣れてきている自分がいた。
そしてこの日、三件目の電話を掛けた。
いつものように、幼稚園の先生であろう女性が電話にでた。
そして、こちらも慣れたように要件を伝えると、今は担当の者が取り込み中なので20分ほどしたら掛けなおしてほしいとのこと。
これまたよくあるパターンだ。
わかりましたと言って電話を切った。
この時僕はその日電話をもう一度掛けなおそうか迷った。
なぜなら20分後だと会社の休憩時間が終わる頃だ。
そう。
そういう言い訳がいつも頭に浮かんでくるのだ。
僕がブログにこうして記載している内容はすべて実話であり、実際に起こった出来事と、それによって僕の中で沸き上がった感情を正直に綴っている。
しかし、どうしても文章で細かいところまで伝えられてはいないので、読んでくれている皆さんには、割と僕はサクサクと電話をかけているようにも見えるかもしれない。
しかし、実際は違うのだ。
実際のところは、営業電話をするのは正直結構気合いがいる。
だんだん慣れては来ているが、それでも気疲れもするし多少緊張もする。
だから、本当にちょっとしたきっかけがあれば、出来ればすぐにでも辞めたいという思いが常に頭の片隅にあるというのが正直なところだ。
誰だってというとみんなを巻き込むようで申し訳ないが、基本営業電話が好きでしょうがない人はそんなに存在しないであろう。
だから、もう会社の休憩ももうすぐ終わるしなんて思うと今日は辞めてもいいかなぁと言い訳を作ってしまいがちになるのだ。
毎日電話していると、その誘惑に勝てる時もあれば負けてしまうこともある。
しかし、この日の僕はその誘惑に勝てる日だった。
だから、実際に約20分程度経った頃にもう一度電話を掛けなおしてみた。
転機を迎える出会い
まあ、おそらく断られるであろうと思っていたので、その場合5分も話さないことが多いのでこの後の仕事に影響はないだろうと考えていた。
「はい、・・・幼稚園です。」
先ほどの女性らしき声の人が電話に出た。
僕は先ほど電話した者で、言われた通りもう一度掛けなおした旨伝えると、少々お待ちくださいと担当者に替わってくれた。
代わりに電話に出たのは男性で、その園の副園長だった。
その声色は、少しぶっきらぼうな雰囲気でボリュームが大きめだった。
声の印象からは、
「そんなの興味ないよ!」
と一喝されてガチャ切りでもされそうな圧のある声だった。
しかし、
僕が話を続けると様子が違った。
どんどん興味を持ってくれたのだ。
そして、
「Geshiそれ面白いね!」
なんだかこれまでの園とは雰囲気が違うと感じた。
すると、副園長はこう言った。
「すごい面白いアイデアじゃない!じゃあ今度一度うちの園に来て話しをしようよ!」
なんと、副園長は近々会って話を聞いてくれるというのだ。
きたー!!!!!
こんなにもテンションが上がったのはどれだけぶりだろうか。
ラッキーなことに、僕の日々の生活の中には刺激的なことがたくさんある。
仕事でもそうだし、そしてこの頃の僕のビッグイベントといえば、結婚、そしてパパになるといった、人生から切っても切り離せない大切なことがたくさん起こっていた。
しかし、その中でもこの副園長の「今度一度うちに来て話しをしようよ!」
この言葉は、僕のテンションを爆上げした!
「本当ですか?!ありがとうございます!!」
心から感謝の叫びを伝えた。
この日は忘れもしない、2020年10月20日。
きっと今後も忘れることのない日になるであろう。
まあ、それも僕がこれからしっかり独立してこの日をこれからの人生の起点にすればの話だが。
この時期は大体どこの幼稚園も運動会を行う時期だった。
本番はもちろんだが、練習もたくさん行うとのことで子供達も先生たちも忙しいのだという。
しかし、その合間を縫って副園長先生は僕と会ってくれることになったのだ。
そしてその電話で早速日取りも決めた。
初面談。2020年10月27日。
そうしてひとまずこの日は電話を切った。
副園長先生の携帯番号を教えてもらい、今後は直接電話できるようになった。
嬉しかった。
本当に涙が出るかと思った。
しかし、これはまだ序章に過ぎない。
まだ何も始まっていないに等しいのだ。
実際に会ってみてどれだけこのプロジェクトの良さを伝えられるかが勝負だ。
面談までの時間はほんの数日。
完璧に準備していかねばならない。